院長のコラム

“ドクトル・イトウの地球の果てまで“ 世界60ヶ国以上を訪れた、院長のちょっと変わった見聞録

第2回 メロエ遺跡(スーダン):ヌビアのピラミッド

 スーダンの首都ハルツームの北300キロの砂漠にヌビア文明のピラミッド群があるという。2001年当時、許可を取らないとハルツームから外に出ることができなかった外国人にとって、非常に興味深い場所であった。それがその後、世界文化遺産に登録されたというので驚いた。恐らく世界で最も行きにくい世界遺産の一つではないであろうか。ではどうやっていくのか?観光というものがほとんど存在しないスーダンで、そんなところにホテルなどあろうはずがない。調べてみたら、ハルツームから4WD車を借り上げて行くプライベートツアーがあった。1泊2日、運転手、ガイド、テント、食事のすべて込みで1人100ドル程度であったと思う。
灼熱の土漠を走ること5時間、メロエの遺跡に到着した。
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 パウダーのような赤茶色の砂漠の中に、先端部の無い小型のピラミッドが点在する。
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 ピラミッドの埋葬品目当ての盗掘にあったために、ピラミッドの先端部分がみな破壊されているらしい。エジプトのピラミッドに比べ、より先鋭な形をしている。
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 一通り、ピラミッドを見学して帰ってくると、見事にテント村が完成していた。トイレ用、シャワー用のテントまである。
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 質素な食事に寝袋の一夜ではあったが、満天の星空の下、なんとも贅沢な時間であった。こういった自然の中の建造物を見る上で一番大切なことは、そこで一泊するということだ。朝夕の色が変化する様子はまた格別なものである。
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 夜が明けてきた。
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 朝、目を覚ますと大笑い。なんと、テントの前ににわか土産物屋が開店しているではないか!近くに村などある様子は無く、彼らはいったいどこからやって来たのであろう?何とも微笑ましく、逞しい。
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 子供たちにとっては、砂漠も大きなお砂場。我が家の娘も遺跡などお構いなしで砂遊びに熱中していた。
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 大人も大きな砂山の上に登ると、爽快な気分になる。
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 帰路、ナカのライオン神殿、アモン神殿に立ち寄った。小さな遺跡ではあるが、壁に描かれた絵やヒエログリフはどれもエジプトで見たものと変わりなく、恐らく歴史的価値は大きいのではないかと思う。
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 こういった貴重な遺跡を放っておけるのは、さすがスーダンである。
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 これはラクダで井戸水を汲む様子。
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 どうやら深い井戸のようで、ロープで繋がれたラクダが、勢いよく丘を駆け下りていくと歓声が上がる。
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 彼らにとって真に命の水なのだろう。
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 シェンディーの街。
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 何とも素朴な風景だ。
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 途中給油したガソリンスタンド。
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 スーダンらしい光景だ。
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 最後の見どころ(らしい)、ナイル川第6瀑布。滝はどこに?と探したが、どうやら滝ではなく急流ということで、大した景色ではなかった。
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 しばし休憩する我々に近づいて来たスーダン人親子。父親が話しかけてきた内容に驚愕!!「息子の腎臓を買わないか?」。そういった闇ビジネスが、こんなところに入り込んでいるのかどうかは不明だが、スーダンの抱える問題を突きつけられた気分であった。

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